副業禁止の会社でばれずに副業する方法
最近は大手企業の中に社員の副業を解禁するところが出てきました。長時間労働の抑制が世間で言われ、企業側は「働き方改革」を推進。サラリーマンの労働時間は短縮されてきています。
そこに加えてコロナ問題の発生。在宅時間が以前よりも圧倒的に増えたことで、副業を考える人が増加しています。
しかしこうした状況の一方、副業を公に解禁・推進している企業はまだ全体の30%程度にとどまっています。70%は未だに副業を認めていません。
「副業したいけど、会社が禁止しているからできない。」
どうすれば会社ばれせずに副業をすることができるのでしょうか?今回はその方法について書きたいと思います。
そもそも、なぜ会社は副業を禁止するのか
社会的ニーズが強い「副業」なのに、なぜ会社は禁止するのでしょうか?少し古いデータになりますが、2018年にリクルートキャリア社が行ったアンケート結果があります。
そこに記載されている禁止理由のトップ5は、以下のとおりです。
① 社員の長時間労働を抑制するため
② 会社が労働時間を管理するのが困難になるから
③ 情報漏洩リスクがあるため
④ 利益相反になる(自社の競合となるリスクがあるから)
⑤ 労災が起きた場合、本業との区別が困難になるから
表1. 会社が副業を禁止する理由
(出典:リクルートキャリア「兼業・副業に対する企業の意識調査(2018)」)
このアンケートからは、副業を禁止する会社側の言い分が読み取れます。社員を長時間労働から守る。社員による情報漏洩リスクを防ぐ。というのが建前ですが、「過労自殺の問題もあって労働時間を短くしてんのに、なんでわざわざ社外で仕事するんだよ。もし労災でも起きた日にゃ、本業であるウチが責任を問われるだろ。」とか、「本業で知り得た情報を意図せず漏洩させてしまったらどうするんだ。利益相反だってあり得るだろ。」等といったところに本音がありそうです。
こうした会社側の言い分も一部、理解できます。特に個人情報、技術情報の漏洩は、企業経営そのものにダメージを与えかねない問題です。ビジネスマンである以上、この規定を犯すような副業はしないのが当然といえるでしょう。
しかし長時間労働に関して言えば、やむにやまれぬ事情で副業をしている人を除き、自らの意思で進んで副業する人が過労死するなんてことは、ありえません。だとすると、自分がやっている副業はあくまで趣味の延長だと言い切れば、会社が懸念する長時間労働には該当しない。と言えます。
柔軟な考え方の会社であれば、事情を説明して副業を認めてもらうよう交渉してみるという手もあります。実際、ある中小企業では社長に直談判して副業を認めてもらった。という方もいます。しかしこれはレアケースです。通常はばれないよう、会社に黙って副業をスタートさせるケースがほとんどだと思います。
自分の会社は副業禁止なのか。一度、自社の職務規定を確認しておきましょう。
なぜ副業はばれてしまうのか
「副業していることを黙っていれば、会社にバレないんじゃないの?」
そう思われるかもしれません。しかし意外なところから副業はばれるリスクがあります。それが以下のような理由です。
自ら副業をばらすような行動を取る
Face BookやLinkedInなどのSNSによる発信
副業の活動範囲を広げる目的でSNS上に副業ネタを公開。会社関係者へ容易に知られてしまうケースです。特に実名アカウントを使用するSNSの使用は要注意です。情報の公開範囲を限定する。もしくは一切使用しない。というのが賢明です。
周囲の人間に話す
酒の席で気が緩んだときなどに、「自分は副業で○○万円儲けてる」と、つい周囲に漏らしてしまって会社にばれるケース。特に金銭に関わる内容は他人の嫉妬を生みやすいので気を付けましょう。
「あいつは会社に黙って社外で副業しているらしい。」という噂は、自分の知らないところで、時には悪意を含んで一瞬にして拡散されます。「ウチの副業禁止について、どう思う?」などと同僚から水を向けられても、絶対に自分の副業のことは口外しないようにしましょう。
会社の同僚が顧客として現れる
これはレアケースで、まずないと思いますが、会社の近くで接客・サービス業の副業をしている場合です。
税金(住民税)からばれる
これが最も重要な点です。副業が会社にばれる最大のリスクは住民税です。逆に言うと、この点さえ抑えられれば、副業がばれるリスクを大きく下げられると言えるでしょう。
確定申告後、副業分の住民税請求が本業の会社へ行ってしまう
副業をしていて、年間20万円超の利益が生じた場合は年度末に税務署に対して所得税の確定申告が必要となります。所得税のやり取りは自分と税務署とのやり取りなので、この時点で副業が会社にばれることはありません。
問題はここから先です。申告を受けた税務署は、その内容を居住地の市区町村へ連絡します。連絡を受けた市区町村では、確定申告書の内容から自分の所得を把握し、5月以降に本業の会社へ住民税の通知を行います。副業がばれてしまうのはこの時です。
通常であれば本業の会社は通知された住民税額を元に給与天引きをします。他の従業員と給料が同じはずなのに住民税の差額が大きいと、給与計算の担当者は「あれ、変だな?」と感じます。そこで自分が副業していることに気づかれてしまうというわけです。(図A参照)
図A. 副業がばれる仕組み
副業が会社にばれるリスクを低減する方法
では、この時に副業がばれないためにはどうすればよいでしょうか。答えは、「副業分の住民税だけ別で自宅に請求してもらう」ことです。(図B参照)
図B. 副業がばれないようにする方法
確定申告時に「普通徴収」を選択する
確定申告の際、副業分の住民税だけ自分あてに送ってもらう方法があります。申告書には、「特別徴収」と「普通徴収」のどちらかを選択できる欄があります。副業が会社にばれたくない人は、ここで迷わず「普通徴収」(自分で納付)を選択してください。(図C参照)
注)住民税の給与天引きを「特別徴収」というのに対し、自分で支払う方法を「普通徴収」といいます。
図C. 申告書第二表「住民税・事業税に関する事項」
5月に市役所へ電話をする
税務署への確定申告が終わり、5月になったら市役所の住民税窓口へ電話しましょう。そして担当者に、副業分の住民税だけ普通徴収として確実に自宅へ送られるか、確認(念押し)しておきましょう。
「普通徴収」で申告しても特別徴収として、まれに本業の会社へ通知が行ってしまう場合があるらしいです。この時期、お役所は税金関係の仕事で立て込んでおり、担当者が間違いを起こしてしまうリスクがゼロではないから、とのこと。特にコロナ関連で諸手続きの重なる今年、役所は大忙しでしょう。電話で確認を取るようにしてください。
所得税の確定申告、税金のことはプロに相談しよう
ここまで、副業が会社にばれてしまうケースとその対策について書きました。中でも税金の手続きが特に重要であることにも触れました。副業が会社にばれたくない人は、正しく手続きをすることで、リスクを最小限に抑えることが可能です。
しかし、税制内容は常に改定されていきます。今年良くても来年はダメ、ということもあり得ます。また、副業がアルバイトのような「給与所得」なのか、業務委託による「雑所得」なのか、「事業所得」なのかによって対応の仕方や申請書の書き方が変わってきます。その領域の専門家か税務関係の仕事をしている人でない限り、細部まで把握して動くことはなかなか困難です。
それでも確定申告の手続きは自分でやるんだ!という気合の方はそれで頑張っていただければよいでしょう。しかしこうした煩雑な手続きはプロにお任せしてしまうのが最も賢明です。専門外の領域、しかも事務処理手続きに時間を割くのであれば、自分の副業ビジネスにもっと注力した方が良いです。
私は初年度こそ自分で確定申告をやりましたが、慣れないこともあって非常に手間がかかってしまいました。そこで2年目からは税理士事務所と契約し、税務に関わる作業を全て委託することにしました。税金の簡単な相談にも乗ってもらっています。不明点はすぐに専門家のアドバイスを聞けますし、煩雑な仕分けも全て処理してもらえるので、非常に助かっています。
おかげで事務処理作業が軽減され、他のことに時間が使えるようになりました。知り合いに税理士、もしくは税務に詳しい専門家がいる場合、作業を委託する前提で、ぜひ相談してみましょう。
最悪、副業していることがばれてしまった場合の対処法
いろいろと対処をしても、「これさえやっておけば副業が会社に100%ばれない!」という方法は存在しません。ここまでの内容はあくまで「ばれるリスクを低減する」、「ばれる確率を限りなくゼロに近づける」方法だと理解しておいてください。
もしも会社に副業がばれてしまった場合は、副業していることを正直に白状し、事情を説明して謝罪するしかありません。その際、以下の2点を踏まえて申し開きを行いましょう。
- どうしても内緒で副業せざるを得なかった理由(ex.家族の病気、借金)
- 自分の副業には会社が懸念する点のないこと(情報漏洩や利益相反のリスク)
まとめ(副業禁止の会社でばれずに副業する方法)
最後にもう一度、副業がばれないための方法についてまとめておきます。
- 自分が副業していることは同僚へ絶対に口外しない
- SNS(実名アカウントのFB、リンクトイン)に副業のことを書かない
- 確定申告の際、住民税は「普通徴収」(自分で納付)で申告する
- 税務の細かい手続きや方法は、プロである税理士に相談する
世の中には副業をしている人が結構います。本業以外の収入を得る。報酬額とは関係なく自己成長のために異業種で副業する。副業する人の目的は様々です。しかしいずれも本業に支障をきたしたという人の話は聞きません。むしろ副業でモチベーションが向上した。新たな知識、経験の獲得が本業に役立った。など、プラス面の効果を挙げる人が多いです。
会社にばれる心配はあるけれど、まずは副業を始めてみることをお勧めします。会社ばれを心配して行動を起こさないようでは何も始まりません。ばれることを心配するのは、副業で大きく稼げるようになってからでちょうどよいかと思います。
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